明け方に雨の音。
静かにサラサラと。
ほっとして心も体もほぐれていくようだった。
その日の午後、高校生の生徒さんと話していたら、彼女は雨が好きとのこと。
雨の匂いも音も好きで、なかでも色が好きだという。
雨の色かあ。
ふと、アメリカ留学時代に雪が降ったときのことを思い出した。ボストン。冬の大雪。
イタリア人の友人に雪だねと話しかけたら、
「Yes. It is beautiful.」
と瞳を輝かせて。
満面の笑顔での返答。
多くの人が、雪で困ったなというニュアンスで会話する中、そういう返答をどこかで予想していた私はびっくりした。
そして、そうだな、雪ってきれいだよな、とはっとした。その友人だって雪はもう見慣れていたはず。だけど、ちゃんとその美しさが見えていて。
自分が心に蓋していたことに気がついた。
心を澄ませて、美しいものを美しいと感じられる自分でありたい。