トイレに絵葉書が飾ってある。
絵本の挿絵。
小さな小さな絵。
小さな葉っぱの筋までこまやかに描かれていて。
草むらには脱ぎ捨てた靴も転がっていて。
小さな絵の向こうに大きな世界が広がっている。
きっとこの絵を描いた人は、絵を描くという行為を通じて、いろんなことを知って、学んで、感動したのだろうなあと思う。
そうやって、この小さな絵ができあがって、私に大きな世界を教えてくれている。
きっと、なにかひとつのことをつきつめていくってそういうことなんだと思う。
例えば、専門的な狭い分野の研究にみえても、その研究者は、その小さな切り口から、この世界の輪郭に触れることになる。
絵でも、写真でも、料理でも、音楽でも。
生きている時間には限りがあるけれど、そのなかで、この世界の輪郭に触れられたなら。